悪質な電話機リース契約の増加に伴う通達 |
「今の電話が使えなくなる」、「電話代が安くなる」等の不実告知や、実質的に廃業している者に屋号で契約をさせるなどの個人事業者等を狙った悪質な電話リースの訪問販売に関する苦情相談が急激に増加していることから、平成17年12月、経済産業省は、「特定商取引に関する法律」の通達を改正しました。 |
ご注意 |
これは、「法律」の改正ではなく、「通達」(解釈)の改正(明確化)であり、具体的には、特定商取引法の適用を受ける対象を明確にしたものです。 |
主な改正点 |
(1)法第2条 「販売業者等」の解釈の明確化 |
例えばリース提携販売のように、一定の仕組みの上での複数の者による勧誘・販売等であるが、 総合してみれば一つの訪問販売を形成していると認められるような場合には、いずれも販売業者等に該当することを明示しました。 |
(2)法第26条 「営業のために若しくは営業として」(第1項第1号)の解釈の明確化 |
例えば、一見事業者名で契約を行っていても、事業用というよりも、主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合は、原則として特定商取引法(クーリングオフ制度)は適用されることを明示しました。 |
しかし、 |
解説と残された問題 |
まず、特定商取引に関する法律(訪問販売等のクーリングオフを定める法律)では、法第26条第1項第1号で「営業のために若しくは営業として」の契約を適用除外としてます。 |
したがって、法人でなくとも、営業に関る契約は、「個人事業者」であっても、事業者・会社・法人・企業は、クーリングオフ制度の適用を受けないこととなります。 |
これを利用して、その場でハンコを押してくれるような個人事業者をターゲットに、事実と異なる説明をして、電話機・ファックス・複合機などを5年(60ヶ月)〜7年(84ヶ月)間もの長期に渡る高額なリース契約を締結させる、悪質な訪問販売が増加しています。 |
このような被害・苦情・相談が後を耐えないことから、上記のように、法律の「通達」を改正して、法の適用を明確化したわけです。 |
しかし、経済産業省の今回の通達改正は、「法律」の改正ではなく、あくまでも解釈としての通達の明確化であり、実質的には、従来と殆ど変わるところはありません。 |
すなわち |
通達では、「例えば、一見事業者名で契約を行っていても、購入商品や役務が、事業用というよりも主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合、特に実質的に廃業していたり、事業実態がほとんどない零細事業者の場合には、本法が適用される可能性が高い。」とされましたが、 |
「実質的に廃業していたり、事業実態がほとんどない零細事業者の場合」に該当するケースは、そう多くはありません。従って、個人事業者の場合、原則的には、クーリングオフの適用は、困難と言わざるを得ません。しかし、クーリングオフ制度が適用されない場合でも、 |